6/16/2007

6月16日OA:Lake District Concerto

澄み切った青空と、太陽の光を受けて輝く湖。 牧場の緑のキャンパスに、白い絵具のような羊たちの群れ。 野の花を揺らす風にのって運ばれてくる、鳥のさえずり・・・。

UKイングランドの湖水地方を訪れた人は、穏やかな自然の営みに心を奪われるはず。そう、まるで自然界のさまざまなエレメントが、ひとつの協奏曲を奏でているかのよう。詩人:ワーズワース、ピーター・ラビットを生んだ絵本作家:ペアトリクス・ポター、哲学者:ジョン・ラスキンetc... その音色の美しさに魅了された人々は、数え上げればきりがありません。
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【Dove Cottage】
若き日のワーズワースの住居だったところ。石造りの家からは、当時のライフスタイルが伺える。
【Rydal Mount】
晩年のワーズワースの家。花を愛でたワーズワースが自ら設営したという中庭はみごと!

大小合わせて500以上もの湖がある湖水地方。ところが「lake」と名前のつく湖はたったのひとつしかありません。「ウィンダミア」とか「バタミア」とか「ロウズウォーター」など、この地方の古い言葉で「mere」や「water」は湖を意味します。最大規模といわれるのは、全長16kmのウィンダミア湖。遊覧船にゆられて湖畔をわたると、豊かな山に抱きかかえられたかのよう。対岸の農場で草をはむ羊の姿も見ることができます。
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【Windermere Lake Cruise】
ウィンダミアの北端にある村:アンブルサイドから~ボウネスまで、およそ30分のクルージングを楽しめる。

湖水地方にやってきたら、ちょっとがんばってウォーキングに挑戦!黄色い矢印が書かれた登山専用の遊歩道=パブリック・フットパスを目印に、森のなかをさまよってみましょう。きっと湖水地方の醍醐味が堪能できるはず。運がよければ、野うさぎやキジやタヌキたちがsay helloしてくれるかも!
現代のトラベラーがこうした美しい自然を堪能できるのは、実はベアトリクス・ポターのおかげ。ピーター・ラビットで一躍有名になった彼女は、絵本で得た印税をもとに湖水地方の農場をみずから購入することで、無秩序な都市開発の手から湖水をまもろうとしました。彼女の死後、これらの土地はイギリスの環境保護団体National Trustに委託され、当時の姿のままで残されています。なかにはHilltopYew tree farmのように、現在も農場として機能しているところも。ただ保護するだけではなく、きちんと人の手を入れて環境を整えてゆく点は、National Trust独自の方針です。
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【Hilltop】
ベアトリクス・ポターが最初に買った農場。National Trustの管轄下に置かれている。建物の状態を保つため、内部の写真撮影は禁止。
【Beatrix Potter Gallery】
ベアトリクス・ポターが晩年、夫と暮らした家。のちに夫が経営する法律事務所のオフィスとなった。現在は、ベアトリクス・ポターが描いた絵本の原画が展示されている。

Yew tree farmでふるまわれる、ウォーキング客限定のスコーン。日本で見るスコーンよりも、ふたまわりほどビッグサイズ!でも、見た目以上に軽くてふわふわ。味の秘訣を、農場のマダム:キャロラインに訪ねてみたところ、「小麦粉とバターとレーズン、それだけ! ベーキングパウダーは使わないことと、冷たい指で空気を混ぜながら手早くこねることかしら」。一番の隠し味は、湖水地方の新鮮な空気と、彼女の笑顔のような気がします。
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【Yew Tree Farm】
ベアトリクス・ポターが購入した農場のひとつ。現在も、羊・牛・馬を飼育している。スコーンのほか、農場で飼育された新鮮な羊肉やビーフも販売している。
旅先で、美味しい食事は欠かせないもの。湖水地方では、牧場直送の新鮮なミルクやチーズを試さないわけにはいきません。イギリスチーズの定番:チェダーやスティルトンをはじめ、日本ではなかなかお目にかかれないコーニッシュ・ヤーグなど、珍しいチーズが並びます。ときには、まだ名前も付けられていない、農家オリジナル・チーズに出会えることも!
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【Tower Bank Arms】
Hilltopのすぐ隣にあるパブ。湖水地方をはじめ、カンブリア地方で作られる地ビールが20種類以上メニューに並ぶ。地元のチーズを集めたチーズプレートと一緒にどうぞ!

どこに行っても、まるでポストカードのような絶景に出くわすのが湖水地方。ガイドブックに掲載されている観光スポット以外にも、ヴュースポットはまだまだたくさんあります。そんな隠れた絶景ポイント探しに強い味方となるのが、Lake District Film Toursのバスツアー。ガイドをつとめるベンは、映画「ミス・ポター」(日本では今秋公開)の撮影に参加した地元スタッフの1人。ロケハンに参加するうちに発見した、知られざる絶景ポイントの数々へ案内してくれます。道なき道をゆき、小高い山から湖畔をながめれば、ベアトリクス・ポターになった気分。。。
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【Lake District Film Tours】
撮影クルーしか知らない、絶景ポイントへ案内してくれる。移動の合間に、バス内部のスクリーンで映画のDVDも上映してくれる。

取材協力: 英国政府観光庁

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