10/31/2009

<米ユタ州ブライスキャニオン国立公園へ>

今日のデスティネーションは、
アメリカ・ユタ州、ブライス・キャニオン国立公園です。
 “大自然が作り上げた巨大なモニュメント”,
 “土のゴーストたちの野外円形劇場”,
 “伝説のコヨーテが魔法をかけた場所”..
そんないくつもの不思議な異名を持つ場所です。

ソルトレイクシティから 車で4~5時間ほど、
と聞いて、まず地図を広げました。

ブライスキャニオン国立公園は、グランドサークルと
呼ばれる半径230kmのエリアの中にあります。
この円の中に、10の国立公園と、19の国立モニュメントや
州立公園が集中する 大自然のエリアです。
ネイティブ・アメリカンの遺跡が多くのこる地域でもあります。

ところで、
今私たちが持っているような地図って、
遥か昔は、こんな形じゃなかったんですよね。


今から2億年前の地球には、たったひとつの
「パンゲア」という巨大な陸地があっただけ..  
1億5千年ほど前のユタ州あたりは一帯が沼地で、
恐竜たちが闊歩していました。
やがてやってきた氷河期が、大陸に亀裂をつくり、
海を広げ、現在の世界地図を形成していったわけです。

そんなことを、出発前に思い出しました。

6,500 万年前ころのユタ州あたりには、
海の浅瀬があったのではないか、といわれています。
氷河がとけたりできたりを繰り返すことで
海になったり、陸地になったり..

遥かな地球の歳月が、 
アメリカ南西部ブライスキャニオン国立公園の景色を
作り上げました。


      <Photographed by Naoki TSUKADA>


      <Photographed by Naoki TSUKADA>

展望台”サンセットポイント“から見下ろした光景です。
にょきにょき聳えたっているのは、
赤味がかったピンク色の巨大な土の柱”フードゥー”です


大きな大きな赤土のパイプオルガンのようにも、
巨人の世界の“チェス版”のようにも見えます。

フードゥーの高さは、数メートル~60メートル。
ネイティブアメリカンは、“赤い顔”なんて
呼んでいたそうです。
たしかに、いろんな顔や、いろんなかたちに見えます♪


      <Photographed by Naoki TSUKADA>

    <Photographed by Naoki TSUKADA>


面積145k・の南北に細長い公園、
ブライスキャニオンは、“断崖”です。
その谷底が、ハイキングコースになっています。
谷の深さは、200メートルほど。
はるか昔は海の底だった、といわれる谷底です。 

フードゥーの根元まで、一気に降りて行きます。
ピンク色の土の神殿に 誘い込まれていくカンジです。
手すりや階段のない、自然のままの姿ですから、
慎重にね、砂ぼこりをあげながら、おりていきましょう。


      <Photographed by Naoki TSUKADA>


途中で、狭くて暗い回廊のような地点を抜けると、

      <Photographed by Naoki TSUKADA>


その先に、
背の高いダグラス・モミの木が、立っています。
近くには たくさんの緑の木々が茂っています。


      <Photographed by Naoki TSUKADA>


ここは 動植物の神殿でもあるんです。
ミュール鹿やユタ・プレーリードッグなど
たくさんの貴重な動物もここで暮らしているんですって。

ピンク色の土の柱”フードゥー”は、
近くで見ると壁のように大きく、
そっと叩いたら、音は、土の中に吸い込まれていきます。
フードゥーをつくっている土は、
6千万年から4千万年前にこの場所に運ばれ、
積み上げられたものだとか。

ブライスキャニオンは、
冬に積もる雪や、雪解け水、風などによって、
今でもその形を 少しづつ、変え続けているそうです。


ハイキングコースは、何種類もあって、
1時間程のお手軽コースから、テントに宿泊してじっくり
まわるコースもあります。
夏の間は、乗馬で散策することもできます。
雪が降ったら、クロスカントリースキーでのツアーも。
ランニングツアーも人気だそうですよ  
ヘリコプター遊覧飛行もできます。


   <Photographed by Naoki TSUKADA>


ところで、今夜は、なにを食べましょうか?
そういえば、ここから少し足をのばしたところに
新しいアマンリゾート「アマンギリ」が、今月オープン
したとか♪
大自然の中で、ラグジュアリ~なスパも魅力的ですが.. 

今回は、アメリカ西部のカウボーイの世界を満喫!

ブライスキャニオン国立公園の入り口を出てすぐの所に、
西部劇のショーを楽しめる 人気のレストランがあります。
メニューは、4択。
グリルド・リブ・アイのステーキ/ベイクド・サーモン/
バーベキュー・プレート/カウボーイ・チキン。
これが、カウボーイ料理の王道だそうですヨ。
添え合わせには、
カウボーイ・ビーンズにダッチオーブンポテトズ。

※ブライスキャニオンには、ヨーロッパからのツーリストも
 大勢やってきています。ドイツ、フランス、イギリスから
 のツーリストが 特に多いのだとか。

隣のテーブルに座った、いかにもグルメらしいフランス人が
「(うまいね)トレ・ボン」なんて顔して、
 大皿のカウボーイディッシュ、たいらげています♪


ブライスキャニオン国立公園に、太陽がのぼる瞬間、
そして太陽が沈む瞬間..その特別な風景をおさめようと
世界中の大勢の写真家が カメラを構えます。

地平線近くの太陽の光が フードゥーをふちどっていくと、
その瞬間、本当に無数の土の柱が、
生き物のように輝いてみえるのです。
土の中にとじこめられた“ゴースト”が顔を出す瞬間 ..とも
いわれています。

ここ、ブライス・キャニオンは、
アメリカ48州の国立公園のなかで
もっとも暗い夜空があるところと、いわれています。
まわりに光が 圧倒的に少ないからです。

その、暗闇のなかで催行される
夜の“アストロ・ツーリズム“も大人気。
新月の夜には、天文家を招いて本格的な”星空の観測会”
満月の日は、夜のハイキングツアーもスタートします。
夜行性動物の観察会もあります。

ブライスキャニオンでみあげる星空は、
アメリカ48州のなかでイチバンと、いわれています。
晴れた日は、一晩に7500もの星を肉眼で見えるんです。

谷底からフードゥーがそびえる 摩訶不思議なかたちの
アメリカ・ユタ州“ブライス・キャニオン国立公園”。
それは、地球が長い歳月をかけてつくりあげた傑作。
夜空を見上げると、
満天の星がまたたき、
さらなる遥か宇宙の時間へと 続いていくようです。 

そういえば、今夜はハロウィン♪
フードゥーが集うブライスキャニオンでは、
どんな宴がはじまるのでしょうか?

by Haruko Miyazaki

<取材協力:アメリカ西部5州政府観光局デルタ航空



アメリカ・ユタ州“ブライス・キャニオン国立公園”へは、
ソルトレイクシティから 車で4時間ほど。
ソルトレイクシティまでは、デルタ航空が便利です。
西海岸でのスムースな乗り継ぎで到着します。
5月からの夏季スケジュールでは、
成田ーソルトレイクシティ直行便も運行するので
11時間弱で到着です。

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